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NO.078法規制 / 受入検査

改正物流効率化法とCLO(物流統括管理者)とは?― 荷主にも義務が及ぶ仕組み

改正物流効率化法により、2025年4月からすべての荷主・物流事業者に効率化の努力義務が課され、2026年4月からは一定規模以上の特定事業者に中長期計画の作成やCLO(物流統括管理者)の選任が義務づけられます。運送会社だけの話ではなく、荷物を出す側・受け取る側にも及ぶ点が要点です。

公開QUALIKEEP 編集部
法規制受入検査物流効率化法CLO2024年問題荷主

この記事の要点SUMMARY

  • 2025年4月からすべての荷主・物流事業者に物流効率化の努力義務、2026年4月から特定事業者に義務が本格化する
  • CLO(物流統括管理者)は経営の重要な決定に参画する管理的地位から選任し、選任・解任時は届出が必要
  • 荷待ち・荷役の時間短縮が中心。工場側の受入・出荷のやり方そのものが対象になる

トラックドライバーの時間外労働に上限が適用され、輸送力の不足が現実の問題になりました。いわゆる「2024年問題」です。この対応として法律が改正され、運送会社だけでなく、荷物を出す側・受け取る側にも義務が及ぶ枠組みが作られました。この記事では、改正物流効率化法とCLO(物流統括管理者)について、製造業の視点から整理します。

なぜ荷主にも義務が及ぶのか

ドライバーの拘束時間の内訳を見ると、運転していない時間がかなりの割合を占めます。荷待ち荷役です。

時間の内訳誰がコントロールできるか
運転時間運送事業者(ルート・配車)
荷待ち時間荷主側(バース予約、受入体制、検品の待ち時間)
荷役時間荷主側(パレット化の有無、手積み手降ろし、附帯作業)
休憩運送事業者

運送会社がいくら効率化しても、着荷主の工場で3時間待たされれば意味がありません。だから荷主側にも取り組みを求める、というのがこの法律の考え方です。「運ぶ側の問題」として片付けられない構造になりました。

2段階の施行

時期対象内容
2025年4月1日すべての荷主・物流事業者等物流効率化のために取り組むべき措置の努力義務。これ自体に罰則はありません
2026年4月1日一定規模以上の特定事業者中長期計画の作成・提出、定期報告、CLOの選任などが義務に

努力義務でも「何もしない」は選びにくい

2025年4月からの努力義務には罰則がありません。ただし、取引先から取り組み状況を聞かれる、あるいは運送会社から条件を提示される、という形で実質的な圧力がかかります。「罰則がないから対応しない」という判断は、商流の面では成立しにくくなっています。

CLO(物流統括管理者)とは

特定事業者のうち、特定荷主と特定連鎖化事業者にはCLO(Chief Logistics Officer:物流統括管理者)の選任が義務づけられます。

項目内容
選任の要件事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者。実務上は経営幹部から選ぶことになります
届出選任・解任したときは、氏名と役職を荷主事業所管大臣に届け出る
役割物流の効率化に関する取り組みを統括し、中長期計画の作成や実施を主導する
なぜ経営層か物流の改善は他部門との調整が必要だから。生産計画、営業の納期条件、購買の発注ロットに踏み込まないと動かない

最下行が制度設計の意図を表しています。物流部門の中だけで完結する改善には限界があり、「営業が受けた短納期」「生産が決めた製造ロット」「購買が組んだ発注サイクル」にまで手を入れないと荷待ちは減りません。だから権限のある人を置く、という組み立てです。

求められる取り組みの中身

荷待ち時間の削減

バース予約システム、受入時間の分散、事前の情報連携

荷役時間の削減

パレット化、手荷役の解消、附帯作業の見直し

積載効率の向上

共同輸配送、発注ロットの見直し、モーダルシフト

待たせない、積み降ろしを楽にする、無駄な便を減らす
取り組み工場側で実際に変わること
バース予約「来た順」から「予約制」へ。受入側の段取りも時間で組む必要が出る
検品の簡素化全数開梱検品をやめ、伝票・コードによる照合へ切り替える検討
パレット化手積み手降ろしをやめる。パレットの規格統一と回収の仕組みが要る
附帯作業の見直しドライバーに棚入れや仕分けをさせていないか
発注ロットの見直し小口高頻度の発注を見直す。在庫の持ち方に影響する(「発注点と安全在庫」)
出荷情報の事前連携何がいつ届くかを事前に伝え、受入側が準備できるようにする

検品の簡素化は、品質側との調整が要る

荷待ち削減の手段としてよく挙がるのが検品の簡素化ですが、ここは品質保証と正面からぶつかります。

受入検査は、規格や顧客要求で求められている場合があります(「受入検査とCoA」)。「時間がかかるからやめる」という話にはできません。現実的なのは、検査そのものをなくすのではなく、待たせない形に変えるという方向です。

やり方荷待ちへの影響品質面での成立性
全数を開梱してその場で検品、ドライバーは待機待ち時間が長い確実だが、負担が大きい
受領だけ先に済ませ、検査は後で行う待ち時間が短い検査前の在庫を区別して管理できることが前提
コード読み取りによる照合で受領短い数量・品目の確認は可能。中身の品質は別途
書類(CoA等)による確認と抜取検査短い取り決めがあり、記録が残せることが前提

2行目を選ぶ場合、「検査が終わっていない材料が、そのまま製造に使われない」ことを担保する必要があります。区別が曖昧なまま受領だけ早くすると、未検査品の混入という別の問題を生みます。

荷が到着

数量と品目だけを確認して受領する

**トラックは解放**

ここで待ち時間が短くなる。物流側の目的はここで達成される

**受け入れた材料は「検査待ち」の状態**

ここが曖昧だと、次の工程で使われてしまう

受入検査を実施

合格したものだけが「使ってよい」状態になる

製造で使用

検査前のものが混ざっていないことが示せる状態にしておく

トラックを先に帰し、検査は後で。ただし「未検査」の状態が見えていることが条件

3番目の状態をどう表すかが実務の分かれ目です。よく使われる方法と、それぞれの弱点を並べます。

方法仕組み弱点
置き場を分ける検査待ちの区画を設ける場所が足りないと混ざる。繁忙期に崩れやすい
札・テープを貼る「検査中」の表示をつける剥がれる、貼り忘れる、急いでいると外して使われる
帳票で管理する受入台帳に状態を書く現場で材料を手に取る人は台帳を見ない
現物のコードで判定する使用時に読み取って、状態を確認する読み取る運用が定着していれば有効

上の3つは長く使われてきた方法ですが、いずれも「人が気をつける」ことが前提です。荷待ち削減のために受領を早めるほど、検査待ちの在庫が増え、この前提が苦しくなります。物流の効率化と品質保証を両立させるなら、ここをどう担保するかを先に決めておく必要があります。

記録の観点から

特定事業者になると、定期報告が求められます。報告するには、実績を測っていることが前提になります。

  • 荷待ち時間:到着から荷役開始まで、どれくらい待たせているか
  • 荷役時間:積み降ろしにどれくらいかかっているか
  • 受入の実績:いつ、何が、どれだけ届いたか
  • 取り組みの実施状況:計画に対して何をしたか

このうち上2つは、多くの工場で測られていません。門衛の記録や、ドライバーの記憶に頼っている状態が一般的です。まず現状を測ることから始める、というのが実際の順序になります。

よくある誤解

  • 「運送会社の話」:荷主にも努力義務があり、規模によっては義務が課されます
  • 「CLOは物流部長のこと」:事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位が要件です。部門長では要件を満たさない場合があります
  • 「2026年からなので、まだ先の話」:2025年4月から努力義務が始まっています。また実績を測るには時間がかかります
  • 「荷待ちは運送会社が調整する問題」:受入側の体制が原因の待機は、荷主側の課題として扱われます
  • 「検品をやめれば解決する」:受入検査が求められている場合、やめることはできません。待たせない形に変える工夫が要ります

まとめ

  • 改正物流効率化法により、2025年4月からすべての荷主・物流事業者に努力義務が課された
  • 2026年4月からは特定事業者に、中長期計画の作成・提出、定期報告、CLOの選任が義務づけられる
  • CLOは事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位から選任し、選任・解任時は届出が必要
  • 中心は荷待ち・荷役時間の削減。工場側の受入体制そのものが対象になる
  • 検品の簡素化は品質保証と調整が必要。検査をなくすのではなく、待たせない形に変える発想が現実的
  • 受領を早めるほど検査待ちの在庫が増える。置き場・札・帳票はどれも人の注意が前提で、繁忙期に崩れやすい

この分野を扱うなら ― QUALIKEEP でできること

正直にお伝えすると、QUALIKEEP は物流管理システムではありません。バース予約、配車、輸送管理、荷待ち時間の計測——いずれも対象外です。QUALIKEEP が関われるのは、受入時の記録という一点だけです。

領域QUALIKEEP が担える範囲対象外(他の仕組みで扱う領域)
受入の記録何がいつ届き、どのロットかをQRスキャンで記録——
検査前後の区別受入後の状態を記録し、使用時にスキャンで判定(未検査品の使用防止に使える)——
バース予約・配車(該当なし)予約システム、トラックの到着案内、配車計画、輸送管理はTMS等の領域
荷待ち時間の計測(該当なし)到着時刻から荷役開始までを計測・集計する機能はありません
中長期計画・定期報告(該当なし)国へ提出する中長期計画書や定期報告の作成・出力は行いません
在庫・出荷管理(該当なし)倉庫内のロケーション管理、ピッキング、出荷指示はWMSの領域

つまり、「受入を早く済ませたいが、記録は残したい」という場面での道具です。物流効率化の取り組みそのものは、物流部門とCLOの仕事になります。

受入を早く済ませつつ、ロットの記録は残せますか。

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ご注意

本記事は公開情報をもとにした一般的な解説です。特定事業者の判定基準、義務の内容、施行時期の詳細は変更されることがあります。自社が対象となるかについては、国土交通省・経済産業省の最新情報および所管省庁にご確認ください。

参考・出典

  1. 国土交通省「物流効率化法(流通業務総合効率化法)」
  2. 経済産業省「物流政策」

※ 外部サイトの内容・URL は変更される場合があります。最新の情報は各機関の公式ページをご確認ください。

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