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NO.040トレーサビリティ / 食品安全

FSMA 204とは?米国の食品トレーサビリティ最終規則 ― CTE・KDE・FTLと24時間ルール

米国FDAのFSMA 204(食品トレーサビリティ最終規則)は、対象食品(FTL)を扱う事業者に、重要追跡イベント(CTE)ごとの主要データ要素(KDE)の記録と、要求から24時間以内のデータ提出を義務づけます。FTL・CTE・KDE・TLC・Transformationの意味、24時間ルールと2年保存、GS1標準、2028年7月への延期までを、FDA公式出典付きで体系的に解説します。

公開QUALIKEEP 編集部

この記事の要点SUMMARY

  • FSMA 204は米国FDAの食品トレーサビリティ最終規則。対象はFTLに掲載された食品
  • CTE(重要追跡イベント)ごとにKDEを記録し、TLCで食品ロットを一意に識別する
  • 記録は2年保存、要求から24時間以内に電子提出。遵守期日は2028年7月20日へ延期

FSMA 204 は、米国FDA(食品医薬品局)の「食品安全強化法(FSMA)」第204条に基づく 食品トレーサビリティ最終規則(Food Traceability Final Rule)です。対象食品を扱う事業者に、サプライチェーン上の要所での記録と、FDAの要求から24時間以内のデータ提出を義務づけます。米国へ食品を輸出する日本企業やそのサプライヤーにも関わるため、用語(FTL・CTE・KDE・TLC)を正しく理解しておく価値があります。

FSMA 204とは ― 何を求める規則か

FSMA(Food Safety Modernization Act)は、食品安全を「事後対応」から「未然防止」へ転換した米国の法律です。その第204条を具体化したのがこの最終規則で、正式名称は「特定食品に関する追加的トレーサビリティ記録の要件」。ねらいは、食中毒などの発生時に、汚染された食品を素早く・正確に追跡し、被害範囲を絞り込むことにあります(FDA)。

対象食品リスト(FTL)とは

この規則の対象は、FDAが定める FTL(Food Traceability List:食品トレーサビリティリスト) に載っている食品と、それを含む食品です。リスクの高い品目が選ばれています。

  • 生鮮野菜・果物:葉物野菜、トマト、きゅうり、ピーマン、メロン、ハーブ類、スプラウト、熱帯果実、カット野菜・カットフルーツ など
  • 特定のチーズ(一部のソフトチーズ等)、殻付き卵
  • ナッツバター調理済みのデリサラダ(RTE)
  • 魚介類:フィンフィッシュ、甲殻類、軟体動物 など

CTE(重要追跡イベント)とは

規則の中心が CTE(Critical Tracking Events:重要追跡イベント) です。サプライチェーン上で「ここは必ず記録せよ」と定められた出来事で、FDAは主に次を挙げています。

CTE(イベント)概要
Harvesting(収穫)農産物の収穫
Cooling(冷却)初期梱包前の冷却
Initial Packing(初期梱包)生鮮農産物の最初の梱包
First Land-Based Receiving(陸揚げ受入)漁船由来の食品を陸上で最初に受け入れる
Shipping(出荷)次の事業者へ送り出す
Receiving(受入)前の事業者から受け取る
Transformation(変換・加工)原材料を混合・加工して別の食品にする

KDE(主要データ要素)とTLC

各CTEで記録すべき具体的な項目が KDE(Key Data Elements:主要データ要素) です。CTEの種類ごとに必要なKDEは異なりますが、共通して重要なのが TLC(Traceability Lot Code:トレーサビリティ・ロットコード) です。TLCは食品ロットを一意に識別する鍵で、これに品目・数量・日時・場所(送り元/送り先)などが結び付きます。

最難関は「Transformation(変換)」の紐付け

最難関は「変換(Transformation)」― ロットの対応づけ入ってきたロットと、出ていくロットの関係を記録する必要があるロット Aロット Bロット C入荷(Receiving)変換加工・混合・小分け・再包装新ロット X新ロット Y出荷(Shipping)追跡すべき局面(CTE)収穫・冷却・初回包装・入荷・変換・出荷(対象食品と工程によって該当する局面が決まる)各局面で持つ情報(KDE)ロット識別(TLC)、日付、場所、数量、品目変換では「入ってきたTLC」と「出ていくTLC」の両方が要る
図 複数の入荷ロットが1つ以上の新ロットになるため、入ってきたTLCと出ていくTLCの両方が必要になる

製造・加工現場で特に重要なのが Transformation です。原材料ロット(旧TLC)を混合・加熱して新しい製品ロット(新TLC)を作ったとき、「どの旧TLCが、いつ、どのレシピで、どの新TLCになったか」の対応関係(旧TLC↔新TLCの全リンク)を記録しなければなりません。ここが切れていると、原材料まで遡れず追跡が破綻します。原材料から製品への追跡の考え方は「トレーサビリティとは」も参照してください。

24時間ルールと2年保存

記録は原則 24か月(2年)保存し、FDAや調査当局から要求があれば 24時間以内に、ソート・検索可能な電子形式(CSV等)で提出できる状態にしておく必要があります。想像してみてください——「該当ロットが使われた全製品の追跡データを24時間以内に出せ」と要求され、紙の伝票倉庫をひっくり返して複数のExcelを人力で突合する作業は、物理的にこの時間内には終わりません。この「手作業の限界」こそが、現場が対応を迫られる本質です。

なぜ紙・Excelでは間に合わないのか ― GS1標準の活用

現実的な対応では、GS1標準のバーコードを使い、記録を自動生成します。原料包材に印字された GS1-128GS1 DataMatrix をスキャンすると、AI(Application Identifier:識別子)から GTIN((01))、ロット/TLC((10))、賞味期限((17))などを自動で読み取り、KDEとして格納できます(GS1の詳細は「GS1とは」)。人手入力を減らし、24時間ルールに耐えるデータ基盤を作るのが定石です。

施行スケジュール(延期に注意)

当初の遵守期日は2026年1月20日でしたが、FDAが30か月の延期方針を示し、2028年7月20日まで執行しないこととされました(FDA)。延期はされましたが、要求される追跡の深さは変わらないため、準備の方向性は同じです。

【参考】24時間で出すために、記録に要る項目

要求に間に合わせるには、変換の前と後がつながっている必要があります。次が揃っていれば、遡ることも前へ追うこともできます。

項目何を持つかなぜ要るか
TLC(追跡ロットコード)食品ロットの一意のコード追跡の起点になる
どのイベントか出荷・受入・変換などCTEのどれに当たるか
そのイベントの必須項目KDEの集まりイベントごとに求められる内容が違う
変換前のTLC使った側のコード遡って追える
変換後のTLC生まれた側のコード前へ追える
発生日時いつ起きたか手入力ではなく、記録された時刻であること

よくある誤解

  • 「米国内の企業だけの話」:米国へ輸出する食品のサプライチェーンにも及びます
  • 「延期されたから当面不要」:2028年7月へ延びただけで、要求は不変。準備期間と捉えるのが妥当
  • 「ロット番号を振れば十分」:Transformation(旧TLC↔新TLC)の紐付けが切れると追跡は成立しません
  • 「賞味期限管理=FSMA204対応」:期限管理は一部。CTEごとのKDEを記録・即時提出できる仕組みが本体です

まとめ

  • FSMA 204は米国の食品トレーサビリティ最終規則。対象はFTL掲載食品
  • CTE(重要追跡イベント)ごとにKDE(主要データ要素)を記録する
  • TLCで食品ロットを識別し、Transformationで旧TLC↔新TLCを紐付けるのが肝
  • 記録は2年保存、要求から24時間以内に電子提出。紙・Excelでは間に合わない
  • GS1標準(GS1-128/DataMatrix)で自動化するのが定石。遵守期日は2028年7月20日

この分野を扱うなら ― QUALIKEEP でできること

ここまではFSMA 204そのもの(FTL・CTE・KDE・TLC・24時間ルール)を解説してきました。正直にお伝えすると、QUALIKEEP は GS1-128の自動分解やFDAポータル形式でのCSV自動生成そのものを代行するものではありません。QUALIKEEP が担えるのは、その土台になる「現場のロット記録」です。仕入先ロットの受入・使用・出荷をQRスキャンで記録し、ロット番号や仕入先からのリコール検索で使用履歴を抽出、試験成績書(CoA)の添付や取引先向けの共有トレースリンクの発行ができます。CTE/KDEのうち現場で発生する一次データを、手書きから仕組みに変えたい場合の選択肢になります(考え方は「トレーサビリティとは」「リコールとトレーサビリティ防衛」)。

ロット単位の使用履歴と証明書を、遡ってすぐ引き出せる形で残しませんか。

飲食・食品の現場での使い方を見る →

ご注意

本記事は一般的な考え方と公開情報を整理したものです。FTLの対象品目・KDEの詳細・遵守期日などの正確な要件は、FDAの最新の公式情報をご確認ください。

参考・出典

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