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NO.087品質保証 / 統計・分析

工程能力指数(Cp・Cpk)とは?― 数字の意味と、1.33が求められる理由

Cpは規格の幅に対してばらつきがどれだけ小さいか、Cpkはそこに「中心からのずれ」を加えた指標です。両者の差が何を意味するのか、1.33や1.67という基準はどこから来るのか、そして「Cpkが高いのに不良が出る」場合に何が起きているのかを、図表を交えて解説します。

公開QUALIKEEP 編集部

この記事の要点SUMMARY

  • Cpは規格幅に対するばらつきの小ささ、Cpkはそこに中心からのずれを加味した指標
  • CpとCpkに差があるなら、ばらつきではなく「狙いがずれている」ことを意味する
  • どちらも工程が安定していることが前提。安定していない工程で計算した値は意味を持たない

取引先から「Cpk 1.33以上を確保してください」と言われる——製造業では日常的な要求です。しかし、この数字が何を意味し、なぜ1.33なのかを説明できる人は多くありません。この記事では、工程能力指数の意味を、計算式の暗記ではなく図で理解できる形で整理します。

工程能力とは何か

工程能力とは、その工程が、要求された規格の中で安定してものを作れる力のことです。

重要なのは、これが「良品が作れるか」ではなく「余裕があるか」を表している点です。たまたま全部が規格内に入っていても、ぎりぎりで入っているなら能力は低い、と評価されます。

規格の幅(USL〜LSL)

上限と下限。ここに入っていれば合格

**ばらつきが小さい工程**

規格の中央に、狭く分布している。**多少条件が変わっても規格を外れない**

**ばらつきが大きい工程**

規格いっぱいに広がっている。**わずかな変動で不良が出る**

同じ「全数合格」でも、余裕がまるで違う

Cp ― 規格の幅に対する、ばらつきの小ささ

Cp は、規格の幅とばらつきの幅を比べた値です。

要素意味
分子:規格の幅上限(USL)− 下限(LSL)。顧客や設計が決めた許容範囲
分母:ばらつきの幅標準偏差σの6倍(±3σ)。その工程が実際にばらつく範囲
Cp = 規格の幅 ÷ 6σ規格の幅が、ばらつきの何倍あるか

つまりCpが1.0なら、規格の幅とばらつきの幅がちょうど同じです。ぴったり収まっているように見えますが、少しでも中心がずれれば、すぐに規格を外れます。

なぜ「6σ」で割るのか

正規分布では、平均±3σの範囲に全体のおよそ99.7%が入ります。つまり6σ幅は「その工程が実質的にばらつく全範囲」を表します。規格の幅がこの6σ幅より広ければ余裕がある、狭ければ足りない——これがCpの発想です。

Cpk ― 中心のずれを加えた指標

Cpには決定的な弱点があります。分布が規格のどこにあるかを見ていないのです。

規格の中央にある下限 LSL上限 USL平均Cp≒1.33Cpk≒1.33ばらつきは同じ・中心がずれた下限 LSL上限 USL平均余裕が狭いCp≒1.33Cpk≒0.83
図 左右でばらつき(分布の幅)は同じ。中心が上限側へ寄ると Cp は変わらないが、Cpk だけが下がる

右の図では、分布の形はまったく同じです。それでも上限に近づいた分だけ、規格を外れる危険は高まっています。Cpはこの変化を捉えられません。規格の幅とばらつきの幅を比べているだけなので、分布がどこにあっても値は同じです。

そこで Cpk を使います。Cpkは平均から近いほうの規格までの距離で評価するため、中心が寄れば値が下がります。図の右側で「余裕が狭い」と示した部分が、Cpkが見ているものです。

指標見ているもの式のイメージ
Cpばらつきの大きさだけ規格の幅 ÷ 6σ
Cpkばらつき+中心のずれ平均から近いほうの規格までの距離 ÷ 3σ

Cpkは、平均から上限までの距離と、平均から下限までの距離を計算し、小さいほう(危ないほう)を採用します。だから片側に寄れば値が下がります。

CpとCpkの差が教えてくれること

状態意味すべきこと
Cp ≒ Cpk規格の中央に分布している値が低ければばらつきを減らす(工程改善)
Cp > Cpk中心がずれている狙い値を調整する。ばらつきは変えなくてよい
Cpが低いそもそもばらつきが大きい中心を直しても限界がある。工程そのものの改善が必要

2行目は実務的に非常に価値のある情報です。中心のずれは、多くの場合すぐ直せます(設定値の変更、工具の調整)。一方でばらつきの低減は、設備や方法の見直しが必要で時間がかかります。CpとCpkの差を見れば、どちらの問題かが分かるということです。

なぜ1.33なのか

よく求められる基準値の意味を整理します。

意味評価
1.00規格の幅とばらつきの幅が同じ(±3σ)余裕なし。少しの変動で不良が出る
1.33規格が±4σ分ある一般的に求められる水準。多少の変動を吸収できる
1.67規格が±5σ分ある重要特性で求められることが多い
2.00規格が±6σ分あるいわゆるシックスシグマの水準

1.33が定着している理由は、工程は必ず変動するからです。工具は摩耗し、材料ロットは変わり、季節で温度が動きます。±3σぴったり(Cp=1.0)では、こうした日常的な変動でただちに不良が出ます。1σ分の余裕を持たせた状態が1.33、という理解が実感に近いでしょう。

1.33を下回ったら即不良ではありません

工程能力指数は「余裕の度合い」を示す指標であって、合否そのものではありません。1.33を下回っていても、その時点の製品はすべて規格内かもしれません。ただし余裕がないため、このまま続ければいずれ不良が出るという警告として読みます。

前提を忘れると数字は無意味になる

ここが最重要です。工程能力指数の計算には前提があり、それが崩れていると数字そのものが意味を失います。

前提崩れているとどうなるかどう確認するか
工程が安定している平均もばらつきも動いているので、計算値が何を表すか不明管理図で安定状態を確認する
分布が正規分布に近い偏った分布だと、σから不良率を推定できないヒストグラムで形を見る
測定が信頼できる製品でなく測定のばらつきを見ていることになる測定システムの評価(「測定システム解析とは」)
データが十分ある少数のデータでは値が安定しない一般に少なくとも数十点以上
サンプルが代表的良いときのデータだけでは実態を表さない通常の生産条件で採取する

1行目が最も見落とされます。工程が不安定なままCpkを計算するのは、揺れている的の中心を測るようなものです。手順としては「まず管理図で安定を確認 → 安定していたら工程能力を評価」という順序になります。

「Cpkは高いのに不良が出る」とき

現場でよく聞く矛盾です。多くの場合、次のどれかが起きています。

原因何が起きているか
工程が安定していない計算した期間と、不良が出た期間の状態が違う
サンプルの取り方に偏り安定している時間帯のデータだけで計算している
測定のばらつきが大きい実際の製品はもっとばらついている、または測定で良品を不良と判定している
分布が正規でない片側に裾を引く分布で、σから推定した不良率が実態と合わない
別の特性で不良が出ているCpkを計算した特性とは違う項目の不良
まれな異常が拾えていない突発的な異常はσに反映されない

最後の行は重要です。工程能力指数は日常的なばらつきを表す指標で、材料ロットの切り替わりや設備の突発異常といった「事件」は表現できません。Cpkが高くても、材料が変わった日に不良が集中する、ということは起こりえます。

よくある誤解

  • 「Cpkが高ければ不良は出ない」:日常のばらつきの指標です。突発的な変動は表現していません
  • 「Cpだけ見ればよい」:中心のずれを見ていません。CpとCpkの両方を見ると、何を直すべきかが分かります
  • 「工程能力=合否判定」:余裕の度合いを示す指標です。1.33未満でも規格内のことはあります
  • 「データを集めれば計算できる」:工程が安定していることが前提です。不安定な工程の値は意味を持ちません
  • 「片側規格ではCpkは使えない」:上限だけ、下限だけの場合も、その側の距離で評価できます

まとめ

  • Cpは規格の幅がばらつき(6σ)の何倍あるかを示す。位置は見ていない
  • Cpkは平均から近いほうの規格までの距離で評価するため、中心のずれを検出できる
  • CpとCpkに差があれば中心のずれ、両方低ければばらつきそのものの問題
  • 1.33は「±4σ分の余裕」。工程は必ず変動するため、1.0では足りないという経験から定着した
  • 前提は工程が安定していること。管理図で確認してから工程能力を評価する

この記事とQUALIKEEPの関係について

率直にお伝えします。工程能力の評価に関して、QUALIKEEP にできることはありません。寸法や特性の測定データを収集する機能、Cp・Cpkを計算する機能、管理図を描く機能——いずれも持っていません。これらは測定器・SPCソフト・表計算の領域です。

領域扱えるか補足
測定データの収集できません測定器やインライン計測と接続してデータを取り込む機能はありません
Cp・Cpkの計算できませんリアルタイムの算出、グラフ化、管理図の作成はいずれも対象外です
工程能力の向上保証しませんCpk 1.33の達成を保証するものではありません。工程能力は設備・方法・材料で決まります
材料ロットの記録扱えます「その時どのロットだったか」という、Cpkでは表現できない変動要因を後から確かめる材料になります

唯一つながるとすれば、記事中で触れた「材料ロットの切り替わりが不良に影響していないか」という論点です。工程能力指数では表現できない変動要因のうち、材料の違いを後から確かめるには、いつどのロットを使ったかの記録が要ります。ただしこれは工程能力の評価ではなく、層別のための記録という別の話です(「QC7つ道具とは」)。

ご注意

本記事は一般的な解説です。工程能力指数の計算方法(σの推定方法、短期・長期の区別など)は文脈によって異なります。顧客要求がある場合は、その定義に従ってください。

参考・出典

  1. 日本規格協会(JSA)
  2. 日本品質管理学会

※ 外部サイトの内容・URL は変更される場合があります。最新の情報は各機関の公式ページをご確認ください。

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